診療内容

基本理念

当科では、患者さんの個々状態に合った適切な治療を行えるように、精神医学領域における全ての専門医を擁して対応しています。外来においては、個々の患者さんの症状に適応したオーダーメイドな治療を心がけています。医師の診断治療方針の決定は、患者さんの希望する在り方を十分考慮しながら、現在の症状の改善という目先の対処のみならず、患者さんのより良い状態が将来にわたってもたらされるように十分配慮して行います。それは、我々が良い医療の実践は、患者さんと医師が共に築いてゆくものと考えるからです。

診断治療方針

当科では、ICD-10(国際診断基準)およびDSM5(米国精神医学会診断基準)の基づいた診断を行っています。その診断に対して、科学的根拠に基づいた治療選択をしてゆきます。基本的には薬による治療が中心となりますが、補助的に、森田療法、認知行動療法、弁証法的行動療法、曝露反応妨害法の特殊精神療法を病態に応じて選択したり、修正版(無けいれんによる)電気痙攣療法、うつ病再発予防プログラム、統合失調症の家族教室、長期休職者に対する診断治療プログラム、身体疾患を持った方々のメンタルサポート等を行っています。また、都心の限られた敷地内であることから、社会復帰活動や長期療養が必要のある方のために関連病院ならびに施設との連携を密にして、長期的展望にたった連続性のあるケア・システムを組むよう心がけています。

■ 特色

各種専門の医師を揃え、統合失調症、うつ病、不安障害はもとより、てんかん、睡眠覚醒リズム障害、老年期認知症、児童思春期問題、発達障害、薬物関連問題など幅広い、専門的対応ができる仕組みになっております。治療は、薬物療法と精神療法の両面から総合的に対応しています。

■ 統合失調症

急性期、ことに初期治療に力を注ぎ、入院が必要な場合も可能な限り短期の入院で済むように種々の工夫をしています。長期化したり、デイケアが必要な場合は、関連施設との連携を密接にして、社会復帰が遅れないように心がけています。回復期の心理教育的接近、生活技能訓練なども試みております。

■ 気分障害(うつ病、躁うつ病)

最近のストレス社会等を背景に、うつ病の増加、軽症化や多様化が言われております。その際に必要なことは個々の患者さんの心理社会的側面に配慮した治療であると考えております。その中で必要な薬物療法を施行しつつ、環境調整、認知行動療法的介入、回復期には再発予防プログラムも施行しております。また近年、うつ病の診断および治療の経過で躁うつ病(双極性障害)への診断見直しが必要になるケースが少なくないことが言われております。うつ病と躁うつ病の治療方法は大きく異なることから、早期にうつ病と躁うつ病を鑑別し、適切な治療ができるよう丁寧な診断治療を心がけております。

■ 不安障害

森田療法の発祥の地である当大学では、従来より強迫神経症(強迫性障害)、対人恐怖症(社交不安障害)その他に本治療法を試みてきました。その伝統を継承しつつ最新の薬物療法と、個々の患者さんに適した認知行動療法を含む精神療法的アプローチを組み合わせた最善の治療を行っております。

■ てんかん

各種てんかん型、てんかん性精神障害など特に成人例について適切な薬物療法と生活指導などを専門外来を設けて行っています。

■ 睡眠障害

現代社会において夜型生活が常態化してしまうことで、本来の睡眠覚醒習慣が障害される。概日リズム睡眠障害や、メタボリック症候群を発症し、後に日中の過度の眠気が生ずる睡眠関連呼吸障害を併発してしまう症例が蔓延してきております。最近、日中の眠気のため仕事や学業に支障が出て受診される方が増えています。 また、自己の睡眠習慣にこだわりを持つことで、不眠のイメージが強くなってしまう精神生理性不眠症や、夜間睡眠中に足の異和感によって睡眠が妨げられる、むずむず脚症候群といった睡眠関連運動障害を呈する症例もここ最近増加傾向にあります。 この領域を対応する睡眠障害専門外来では、症例毎に必要に応じた検査や薬物療法、認知行動療法などの心理療法や生活指導を行っております。

■ 児童思春期精神障害(発達障害を含む)

児童思春期には、発達障害(注意欠如多動性障害、自閉スペクトラム症)、チック、抜毛症、摂食障害などこの時期に比較的多く見られる障害の他、心身症、気分障害、不安障害、精神病性障害などが成人期とはやや異なる症状で現れます。このような状態の治療は極めて専門性の高い領域です。当科では、児童青年精神医学会の認定医師が対応しています。治療には、薬物療法に加え、児童思春期に適応した、カウンセリング、認知行動療法、慈大式日記療法などを施行しています。

■ 認知症性疾患

高齢社会の到来と共に、さまざまな認知症症例が増加傾向にあります。当院ではもの忘れ外来として認知症の鑑別診断、治療の導入と共に、その後の経過を予測したケアの体制を整えるよう心がけています。つまり、入院その他の収容が必要な場合、関連の施設との連携を図っています。

■ 適応障害

昨今、職場や学校においてうつ状態になってしまったり、医療機関に受診しているものの何度も休職を繰り返してしまうケースが増加傾向にあります。その背後には精神疾患や心理的な社会的な問題が背景に潜在している可能性があります。当院では外来治療以外に治療困難例を対象に入院精査および職場へのアドバイスを行うプログラムの試用もはじめています。