森田療法研究会

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森田療法外来

森田療法とは、几帳面・完全主義といった強力面と内向的・神経質といった弱力面を併せ持つ神経質性格を基盤に、症状へ「とらわれて」いる神経症性障害(具体例:対人緊張を主とする社交不安症、動悸息切れといったパニック発作にとらわれているパニック症、漠とした不安に悩まされる全般性不安症、確認や手洗いを主とする強迫症、自分が悪い病気ではないかと常に心配する病気不安症、慢性的な痛みなどに悩まされる身体症状症など)に対して有効な精神療法です。慈恵医大附属病院精神神経科の森田療法外来ではまず森田療法に適しているか否かを判断致します。適応であれば通院という形で治療を開始致します。薬物療法の併用については診察時に判断させていただきます。

研究テーマ

  1. 外来森田療法の効果研究
  2. 様々な病態の強迫症(強迫性障害)に対する森田療法の応用
  3. 様々な病態の身体症状症(身体表現性障害)に対する森田療法の応用
  4. 高齢者患者に対する森田療法の応用について
  5. 入院森田療法におけるうつ病の回復要因について

メンバー

舘野 歩(附属病院)、矢野 勝治(第三病院)、谷井 一夫(第三病院)、市川光(第三病院)、半田航平(第三病院)、金子咲(第三病院)、久保田幹子(第三病院・非常勤)、中村 敬(第三病院)

「外来森田療法の治療効果研究」参加の適否判断

現在日本森田療法学会では、「外来森田療法の治療効果研究」を実施しています。この研究をご希望される場合、対象であるか否かの判断も当院(慈恵医大附属病院)森田療法外来で行うことが出来ます。

対象:20歳以上65歳未満の神経症性障害(不安症、強迫症)の方。自傷行為など他の精神疾患の合併の無い方。今まで森田療法を受けたことがない方。

方法:治療プログラムは週1回約50分・全12回で構成されており、その期間内において外来森田療法の手続きに則って治療を受けていただきます。治療期間は約三か月間です。治療の実施にあたっては、治療開始時期が異なる2つのグループのいずれかに皆様を振り分けさせていただきます。治療の開始をお待ちいただく皆様(待機グループ)には、一定期間を置いて治療を開始致します。外来森田療法の治療プログラムを実施している間は、薬物療法の増量はせずに治療を進めていきます。

研究実施の場所:東京慈恵会医科大学森田療法センター(慈恵医大第三病院内・東京都狛江市)もしくは、北西クリニック(最寄り駅渋谷駅)

主要な研究論文

1. 舘野 歩、井上祐紀、繁田雅弘.認知行動療法実施後再燃したが外来森田療法を実施し改善しているパニック症の一症例. 精神療法. 48(5); 655-663, 2022.

解説:慈恵医大附属病院における認知行動療法を実施後再燃したが外来森田療法で改善しているパニック症の報告です。認知行動療法と外来森田療法の違いを述べています。

2.舘野 歩.強迫症に対する森田療法. 精神医学. 63(6) p943-951,2021.

解説:様々な強迫症に対する森田療法の適応について解説しました。

3.Ayumu Tateno , Katsuharu Yano, Masanori Kawakami,Yuko Imamura,Kei Nakamura. Obsessive-Compulsive Disorder cases with a Good Prognosis which Underwent CBT and Morita Therapy. Fam Med Med Sci Res 4:172. doi:10.4172/2327-4972.1000172

解説:認知行動療法の代表的な技法である曝露&反応妨害法[例:潔癖症で触れないものに直面させ手洗いをさせない]で脱落する症例に対し生活全般を充実させる入院森田療法の効果があった2例を提示しました。

4. 舘野 歩. 森田療法とAcceptance and Commitment Therapy(ACT) の完成に

与えた文化的影響. こころと文化.2018. 17(1):47-55.

解説:第三世代の認知行動療法のひとつ・Acceptance and Commitment Therapy(ACT)は森田療法と酷似していると言われていますが文化的影響から両者の違いを明らかにしました。マインドフルネス(瞑想)を使用した認知行動療法と違い、森田療法では症状受容のためのエクササイズをせずに日常生活実践を通して不安に対する態度の転換を図ります。

5. 谷井一夫. 気分障害患者における臥褥の意義についての検討 (特集・第34回日本森田療法学会 シンポジウム1 臥褥再考 その意義と補完)日本森田療法学会雑誌 第28巻第1号(2016.04)39~43.

解説:入院森田療法の最初には一週間トイレ洗面以外は横になっている臥褥期があります。森田療法センターに入院した気分障害患者19例に対し、入院時、臥褥期にBDI―Ⅱをつけてもらい、抑うつ状態の評価を行いました。臥褥後にトータルスコアで有意な改善を認め、入院森田療法の臥褥体験は抑うつ状態に有効であることが示されました。

6. 中村 敬(編者).うつ病診療における精神療法 10分間で何ができるか。星和書店. 2018.

解説:精神科医は皆短時間で多くの患者を診ないといけません。短い診療時間の中で患者さんに対しいかに良い助言をできるかが精神科医にとって大事です。この本はうつ病外来診療で約10分間以内に何が出来るかを詳しく解説されていて日常臨床に役立ちます。