天谷美里医師＝帝京大学医学部卒業＝は、東京慈恵会医科大学(以下、慈恵医大)本院で初期研修後、2017年度に後期研修医として当医局に入局しました。2019年4月より入局3年目（医師５年目）を迎えます。
精神科医だった祖父の影響で、幼い頃から精神科医を目指していたそうです。

「入局先は、自らの夢を叶える場所として慎重に選びました。慈恵医大の精神科は、働く場所であると共に、教育機関ならではの指導体制が整っており、生涯を通して成長できる環境であったことが魅力的でした。入局して３年が経つ今でも、当医局を選んで本当に良かったと思います」
そう語る天谷医師に、実際の医局の様子について尋ねてみました。

なぜ慈恵の精神科医局を選んだのですか。

「私は幼い頃から『心のお医者さん』になるという夢を抱いていたので、目指す診療科には迷いはありませんでした。しかし、入局先については本当に悩みました。いずれかの大学病院に属するのか、市中病院で働くのか。フリーランスとして活躍する精神科医に相談したこともありました。色々な可能性を探って、後悔のないよう、慎重に考えました。他施設の医局説明会や見学会にも積極的に参加しました。

慈恵医大を選択した理由の一つに、睡眠研究が充実している点もありました。私はもともと睡眠医学に強い興味があり、ある程度、臨床を学んだ後は睡眠の研究（特にレム睡眠、夢の研究）に携わりたいと考えておりました。その旨を、将来像として慈恵精神科の医局説明会で伝えてみたところ、『やりたいことがあるって素晴らしいこと。時期を待たずに、今からでも始めた方が良い。』と、関連した過去の研究や、具体性のある研究プランのご提案をしてくださいました。

精神科医になるだけでも夢がかなうのに、その先に描いていた睡眠の研究まで出来るなんて！

そして何より、先生方が私の想いを大切に扱ってくださったことが嬉しく、この医局に入局したいと思い始めました。他施設の見学会ではなかった、ワクワク感に似た高揚感、感動した気持ちを、今でも覚えています」

実際に入局をしてみて、いかがでしたか。

「入局してみると、他大学出身や他病院研修、また、他科から転科したかたなど、様々な背景のある同期が9人もいました。みんな個性的で、仕事にもプライベートにも意欲的で、医局はいつも賑やかでした。病棟業務はチーム制で、１チーム３〜４人(指導医、後期研修医、初期研修医、医学生)で構成され、屋根瓦方式で指導し、指導され、経験を重ねていきました。

睡眠の研究についても、早々に教授に相談させていただきました。
『うちの医局には、各研究チームに、優秀で面倒見の良い先生がたくさんいます。そのため、チームに関係なく、いろいろな先生から指導を仰いで、どんどん美味しいとこ取りをしてください。きっと、いろいろな情報が得られるでしょう』と、ご教授くださいました。
確かに、指導医が多いほど研究の幅や可能性は広がります。各研究チーム同士の垣根が低いうちの医局だからこそ、出来ることですね。
現在、各先生、先輩の指導を受けながら、研究も進めています。今年から私主導の臨床研究も開始され、現在、データ集めの最中です。学会発表も控えており、緊張感を持ち、充実した毎日を送っています。
そんなところからも、やはり慈恵を選んで良かった、と思いますね」

「慈恵ならではの良さ」は、どんなところでしょうか。

「慈恵は他の病院よりも縦のつながりが強い印象があります。他大学出身でも関係なく、手厚い指導を受けられます。仕事後には新橋や六本木などで食事をする機会も多いです。そのため、些細なことも相談しやすく、コミュニケーションがきちんと取れる関係が築けます。これも、医局の雰囲気の良さに繋がってくるのだと思います。これから入局してくる後輩たちとも、色々な思いを共有しながら、一緒に楽しく働きたいですね。

また昨年末には、都心だからこそ、と言える貴重な経験をしました。TBSテレビで放映された『大恋愛～僕を忘れる君と』というドラマで、医療監修をしました。若年性アルツハイマーを発症した女医が主人公で、その医療指導を中心に監修したのです。

テレビドラマは娯楽ではありますが、画面の向こうで、実際の患者さんや、そのご家族が観ています。人気番組でもあり、その数は計り知れません。
病気としての真実を伝えられるよう、また、誰が観ても傷つかないよう、細心の注意をしながら、医療のリアリティーを追求しました。スタッフやキャストの皆さんと話し合って、より良い作品を作り上げる工程は、とても遣り甲斐のある作業で、毎週金曜日の放送が待ち遠しかったのを覚えています。

この素晴らしい経験も、慈恵医大にいたからこその役得でした。ここだけの話、ワンシーンだけですが役をいただき、出演もしたのですよ」

将来、どんな医師になっていたいですか。

「今は可能性を探っているところです。臨床に、研究に、その他のこと。やりたいことはたくさんありますが、ただ漠然と夢を語るだけでは、時間ばかり過ぎてしまいます。とりあえず、現時点で『心のお医者さん』になりたいという幼少期の夢は、かなえられたのだと思います。
だからこそ、これからの新しい夢設定、目標設定が必要なのだと思います。慈恵医大精神科を選んだことは、一つの大きなターニングポイントになっていると思います。このチャンスを最大限に生かしていきたいですね」

天谷医師の１週間