About Us
臨床脳波・てんかん研究会では、脳波のみならず様々なモダリティを用いて、脳の病態解明や治療指標の構築に迫る研究を目指しています。てんかんは約100人に1人が罹患する神経疾患で、薬物療法や外科手術といった治療の進歩は目覚ましいものがありますが、発作を生じるメカニズムの解明や治療選択の最適化といった多くの課題が残されており、さらなる脳の研究が必要です。特に、てんかんにおける脳の異常は発作焦点部位をこえて広がっていることが知られており、ネットワークレベルでの神経基盤解明の必要性が提唱されています。時間解像度に優れる脳波や脳磁図がダイナミックな脳機能の変動を捉えやすいのに対し、MRIやPETといった脳画像は空間解像度や特異的な構造の評価に秀でており、どちらもてんかん診療に欠かせない検査ですが、これらを適切に組み合わせることで、ヒト脳を低侵襲に研究することが可能です。
当研究会では、脳ネットワーク解析や人工知能を用いた手法、最先端の分子イメージング等を用いて、様々な成果を挙げてきました。主な研究成果として、難治性側頭葉てんかんの記憶機能温存のための最適な外科切除範囲を発見したもの（Sone D, et al. Ann Neurol. 2022）、てんかんの脳年齢を人工知能により算出したもの（Sone D, et al. Mol Psychiatry. 2021）、側頭葉てんかんに伴う抑うつ症状にオピオイド受容体の関与を発見したもの（Sone D, et al. Epilepsia. 2023）、てんかんにおける脳形態の疾患進行パターンを同定したもの（Xiao F, et al. Brain. 2023）、扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんで神経可塑性の関与を示唆したもの（Zubal R, et al. Neurology. 2025）等が挙げられます。これらはいずれも神経医学もしくは精神医学の一流誌／機関誌に原著論文として掲載された研究成果ですが、ほかにも幅広く研究を行っています。更に、脳のネットワーク解析や人工知能、分子イメージングといった手法はてんかん以外の精神・神経疾患にも応用が可能ですので、てんかんのみならず、様々な脳の病態を解き明かし、患者さんや社会に還元できる質の高い研究を継続していくことを目指しています。
連携して研究を行っている機関として、英国ロンドン大学や国立精神・神経医療研究センターといった著名なてんかんセンターがまずは挙げられますが、それ以外にも世界各国の様々な大学・研究機関とつながりがあり、エビデンスレベルを高めるための多施設研究にも参画しています。現在は、University College Londonが主導するMulti-centre Epilepsy Lesion Detection (MELD) projectや、King’s College Londonが主導するfunctional neurological disorder (FND)の国際多施設共同研究等に参画していますが、今後さらに活動の幅を広げていきたいと考えています。
連携して研究を行っている機関として、英国ロンドン大学や国立精神・神経医療研究センターといった著名なてんかんセンターがまずは挙げられますが、それ以外にも世界各国の様々な大学・研究機関とつながりがあり、エビデンスレベルを高めるための多施設研究にも参画しています。現在は、University College Londonが主導するMulti-centre Epilepsy Lesion Detection (MELD) projectや、King’s College Londonが主導するfunctional neurological disorder (FND)の国際多施設共同研究等に参画していますが、今後さらに活動の幅を広げていきたいと考えています。
メンバー
曽根大地
須江洋成（非常勤）
岡部 究（柏病院）
岩﨑 弘（非常勤）
主要な研究論文
- Sone D, et al. Neuropsychiatric symptoms and neuroimaging-based brain age in mild cognitive impairment and early dementia: A multicenter study. Psychiatry Clin Neurosci. 2025;79(4):158-164.
- Zubal R, et al. Brain Hypertrophy in Patients With Mesial Temporal Lobe Epilepsy With Hippocampal Sclerosis and Its Clinical Correlates. Neurology. 2025;104(2):e210182.
- Sone D, et al. White matter brain-age in diverse forms of epilepsy and interictal psychosis. Sci Rep. 2024;14(1):19156.
- Sone D, et al. Disease Progression Patterns of Brain Morphology in Schizophrenia: More Progressed Stages in Treatment Resistance. Schizophr Bull. 2024;50(2):393-402.
- Sone D, et al. Contribution of the μ-opioid receptor system to affective disorders in temporal lobe epilepsy: a bidirectional relationship? Epilepsia. 2023;64(2):420-429.
- Xiao F, et al. Identification of different MRI atrophy progression trajectories in epilepsy by Subtype and Stage Inference. Brain. 2023;146(11):4702-4716.
- Sone D, et al. Optimal Surgical Extent for Memory and Seizure Outcome in Temporal Lobe Epilepsy. Ann Neurol. 2022;91(1):131-144.
- Sone D, et al. Neuroimaging-derived brain age is associated with life satisfaction in cognitively unimpaired elderly: A community-based study. Transl Psychiatry. 2022;12(1):22.
- Sone D, et al. Neuroimaging-based brain-age prediction in diverse forms of epilepsy: a signature of psychosis and beyond. Mol Psychiatry. 2021;26(3):825-834.
- Sone D, et al. Association between neurite metrics and tau/inflammatory pathology in Alzheimer’s disease. Alzheimers Dement (Amst). 2020;12(1):e12125.